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プラ新法と射出成形業界の在り方

プラ新法のあらましと私たちとの関わり

2022年に施行された「プラスチック資源循環促進法(通称:プラ新法)」をご存じでしょうか?これは、プラスチックを廃棄物ではなく「資源」として循環させることを目的とした法律です。皆さんがイメージされる通り、プラスチック含め合成樹脂は環境負荷が低いとは言えない物質です。世界的にも脱プラ・減プラのトレンドが徐々に普及しており、「なじみ深い飲食チェーンで飲み物を購入したらストローが紙製になっていた」という経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

プラ新法の特徴は製造・販売・使用・回収・再資源化までを一体で捉える点で、私たちの業界からの視点では単なるリサイクル義務ではなく、設計・調達段階からの工夫が求められています。

射出成形業界は、製品形状・材料選定・成形条件といった「ものづくりの上流」を担う立場であり、プラ新法の影響を最も受けやすい業界の一つと言えます。


成形加工メーカー視点の3つのポイント

プラ新法と射出成形業界の関わりは、大きく次の3点に集約されます。

① 材料選定とリサイクル適性

再生材の使用、単一素材化、異材混合の回避など、リサイクル工程を意識した材料設計が重要になります。一方で、医療・工業用途では品質や物性要求が厳しく、安易な材料変更ができないケースも多く、「環境配慮」と「機能要求」の両立が技術課題となります。また、生分解性樹脂などの特殊な材料はkg単価が高価であることも無視できません。デポジット製品にこそ土に還る材料を使用したいというお客様も多いことかと思いますが、製品単価と使用用途がかみ合わないといった問題もあります。

② 製品設計と金型構造への影響

薄肉化、軽量化、分解しやすい構造など、製品設計の方向性が金型仕様に直結します。射出成形では、これらを成立させるためにゲート方式、冷却設計、離型性の確保など、従来以上に設計段階での検討精度が求められます。多くのバイオコンポジット材は流れが悪い、焼けが発生しやすいなどの技術課題を抱えているのが現状で、製品設計・金型設計・成形条件に制約を与える場合があります。

③ 成形不良・ロス削減への取り組み

プラ新法では、成形ロスや廃材の削減も重要なテーマです。
不良率低減、条件出しの精度向上、金型寿命の延長など、現場改善そのものが環境対応につながる点は、射出成形業界ならではの強みでもありますね。


プラ新法は業界にとってマイナス?

プラ新法というと「規制」「負担増」という印象を持たれがちですが、実務の現場では必ずしもマイナス面だけではありません。

  • 成形条件の最適化による材料使用量の削減

  • 金型構造の見直しによる歩留まり改善

  • 再生材対応ノウハウの蓄積による差別化

これらは、コスト競争力と技術価値の向上に直結します。
実際、環境配慮型の製品設計提案が評価され、受注につながるケースも増えているというお話も伺っています。


射出成形業界に求められるのは「説明できる技術」

今後の射出成形業界では、「成形できる」「作れる」だけでなく、なぜその材料・構造・条件なのかを説明できることが重要になります。プラ新法への対応は、単なる法令順守ではなく、

  • 顧客への技術説明

  • 社内での設計判断の根拠整理

  • 将来を見据えた技術資産の蓄積

といった形で、企業の信頼性・技術の資産性に関わってくるとも考えられます。


まとめ ― プラ新法は“制約”ではなく“技術を磨く基準”

プラ新法は、射出成形業界にとって避けられない外部要因です。しかし見方を変えれば、設計力・金型技術・成形ノウハウの価値を改めて示す機会でもあります。「環境対応と品質・生産性をどう両立させるか。」その問いに真正面から向き合える企業こそが、今後の射出成形業界で選ばれていく存在になると言えるでしょう。当社も、プラ新法制定と同年に成形事業を開始した身として新時代の成形加工メーカーとして、精進してまいります。