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ゲートシールをマスターしよう

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カテゴリ 教育
公開日
更新日
読了時間 約4分

ゲートシールを理解する― 品質を左右する見えない分岐点―

以前、理想の成形条件についてのコラムの中で、保持圧力(以下、保圧)をかけることで空隙のある成形品の中に圧力で樹脂を押し固め、密度のある成形品が出来上がるということを記しました。

しかし、保圧はかけ続ければいいというものではありません。いくら圧力で流し込んでいるとはいえ、かけすぎれば当然キャパシティを超え、バリを生み出します。そこで覚えておきたいのが、「ゲートシール」です。

射出成形における「ゲートシール」とは、キャビティ内への樹脂の流入が停止し、ゲート部が固化して閉じる現象を指します。この瞬間を境に保圧は成形品へそれ以上伝わらず、成形品の重量、収縮が決定します。ゲートシールは品質の〆切ともいえますね。


ゲートシールは重要な概念?

ゲートシールへの理解が浅かったり、あまり気にせずに成形していると以下のような問題が起きます。

  • それ以上保圧がかからないのに、保圧をかけ続けている(=無駄な時間)    

ヒケ・ショートを起こすくらいなら保圧は長いほど良い、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。ゲートシール後の成形品は何の影響も受けないので、余計な保圧時間は1ショットサイクルを遅延させるうえエネルギーを浪費してしまいます。

  • 寸法にばらつきが出る(測定方法は後述します)。
  • ヒケ・ボイドなどの成形不良がコントロールできない。

ひるがえせば、ゲートシールを把握することで品質と生産性を同時に引き上げることができるかもしれません。


ゲートシールの見極め方

では、具体的にはゲートシールをどう確認するのか?というお話ですが、現場でよく使われるのが「成形品重量を測定する」、という方法です。これは前述の寸法のばらつきを根拠にする方法です。成形現場では、寸法がそろっているかどうかを一般的に質量で判断しています。手順としては、

・保圧を段階的に大きくする

・各段階で成形品の重量を測定

・重量が増えなくなるポイントを探す

図のように、成形品の重量は必ずある段階でそれ以上増えなくなります。この「頭打ちポイント」がゲートシールです。


ゲートシールに影響する要因

ゲートシールは単純な要素ではなく、複数の因子で変動します。

例えば、ゲート径が大きいとシールに時間がかかりますが、反対に小さいと素早くシールします。

また、樹脂温度も直感的にお分かりかもしれませんが、高いほどシールが遅く、低いほどシールが速いです。これは、金型温度にも同じことが言えます。

 材料特性も重要です。PPなどの結晶性樹脂は、ある一定の温度まで冷えると急激に「結晶化」を起こします。結晶化とは分子が規則正しく整列することなので、密度も高まり、流動性が急速に失われゲートシールが起きます。水が凍り付くように、一気に動かなくなるイメージです。

PCなどの非晶性樹脂は、固化の段階で「ガラス転移」を起こします。これは徐々に粘度が高まる現象なので、その間ゲートシールは起きません。べっこう飴が冷え固まるときのイメージです。

当然ながら、 保圧条件も影響します。高圧なほど強く流れ込むのでシールは遅くなりますが、保圧が低ければ早い段階で影響が切れます。


現場での最適解は?

保圧が無意味に長いのは良くない、と理解していても、実際にゲートシールジャストで保圧を切るのは中々勇気がいりますし、安全とは言えないかもしれません。当サイトがおすすめするのは、 保圧時間を理論条件値よりも0.2~0.5秒長めにとる、という方法です。これは、多少なりとも変動するであろう条件に対して安全マージンを持たせてあり、サイクルへの影響も最低限です。

サイクルを短縮することも大切ですが、そもそもゲートシールは品質安定のための概念であり、ここのトレードオフはそれぞれの現場に委ねられます。


ゲートシールを考えるのは成形士だけではない

成形現場までたどり着いてしまえば、ゲートシールのコントロールは成形士に委ねるしかありませんが、

前述の通りゲート径が与える影響も少なからずあるということは、設計である程度コントロールすることもできる、ということです。

例えば

  • サイクルを短縮したい → ゲートを狭め、早めにシールさせる
  • ヒケを抑えたい → ゲートを広め、保圧がかかりやすくする(シールは遅くなる)

設計エンジニアも、「お客先指定のゲート方式とゲート位置さえ守ればいいんでしょ」と考えるのではなく、ハブである成形現場のことまで思いを巡らすと、よりよい成形品に近づけることができるかもしれませんね。


 まとめ

ゲートシールを重視した成形をすることで、 無駄な時間・エネルギー削減でき、寸法・外観も安定するほか、 成形条件の再現性が上がるなど良いことづくめです。成形に携わって間もない技能士の方や、実際の成形現場に赴く機会の少ない設計者の方にも、ぜひ押さえていただきたい概念です。

ゲートシールはセンシングできない概念ではありますが、それだけに現場力が試されるポイントです。この見えないポイントを掴めるようになると、一段上の成形技能士にきっと近づけるはずです。

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